父母の晩年、ハリウッドプラザができる前の自宅の庭にて、ふたりが大好きだった桜の花の前でお天気の日に撮った、穏やかでほほえましい写真です。美容学校の入学式の時だったかもしれません。幸せなふたりのひとときをとらえた一瞬です。
　この広い庭で、父は丹精こめて草花や果実を育てていました。バラの花も一年中咲き誇り、サロンのお客様にさしあげたり、お客様のテーブルに一輪ずつ生けたりしていました。懐かしい庭です。
　私の小さい頃、昭和二十六年頃は、今のビルの先端は崖っぷちになっていて、その下が毛利庭園と麻布十番につながっていました。その崖にはいろいろな植物が自然に生えていて、大きな桜の木が二本斜めに自生していました。
　満開になると、父は社員の人たち全員、女子社員さんから重役さんまで集めて、一緒にお花見をしました。みんなで地元の名物・狸だんごや、おすしを食べて、それは楽しいひとときでした。